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2021.11.24

人事労務顧問

新型コロナウィルスの罹患と労災申請について

新型コロナウィルスの罹患と労災申請について

 新型コロナウィルスについて、最近は新規感染者数の報道が落ち着いてきましたが、日によっては60人を超えている都道府県がありますので、まだまだ予断を許さない状況です。
従業員が新型コロナウィルスに罹患し休業した場合、病気なので傷病手当金の申請をしようとされることが多いと思いますが、場合によっては労災申請となることがあります。

新型コロナウィルス罹患についての労災認定について、医療従事者が多いことは明白ですが、医療従事者以外でも申請した結果、認定されたケースは多々あります。
 

引用:新型コロナウィルス感染症に関する労災請求件数等
https://www.mhlw.go.jp/content/000627234.pdf
 
従業員の治療費の負担割合や仕事ができない間の所得補償の額について、傷病手当金と労災給付では異なります。

●傷病手当金の場合
 治療にかかる費用 = 3割自己負担
 <休みの期間の所得補償(1日あたり)>
=支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額÷30日×3分の2

※支給開始日以前の期間が12ヵ月に満たない場合は支給される額が異なります。
支給開始日以前の加入期間が12ヵ月に満たない方の支給額は、次のいずれか低い額を使用して計算します。
 ①支給開始日の属する月以前の直近の継続した各月の標準報酬月額の平均値
 ②標準報酬月額の平均値:30万円(※):支給開始日が平成31年4月1日以降の方
※当該年度の前年度9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額
 
●労災給付の場合
 治療にかかる費用 = 自己負担なし
 <休みの期間の所得補償>
A. 単一事業労働者(一の事業場のみに使用されている労働者)の場合
休業補償給付=(給付基礎日額の 60%)×休業日数
休業特別支給金=(給付基礎日額の 20%)×休業日数

B. 複数事業労働者(事業主が同一でない複数の事業場に同時に使用されている労働者)の場合
休業補償給付=(複数就業先に係る給付基礎日額に相当する額を合算した額の60%)×休業日数
休業特別支給金=(複数就業先に係る給付基礎日額に相当する額を合算した額の20%)×休業日数
 (※給付基礎日額=労働基準法の平均賃金に相当する額)

 ※休業補償給付については厚生労働省が以下のページに詳しいパンフレットを掲載していますのでご参照ください。
 https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/dl/040325-13-02.pdf
 
【労災認定の要件】
労災が認められるには以下の2点が必要です。
 ① 業務起因性(業務と傷病等の間に一定の因果関係があること。)
 ② 業務遂行性(労働者が労働関係のもとにあった場合(業務指示があって仕事をしていた場合)に起きた災害であること。)
 
上記2点を満たす場合、治療費(療養補償給付)や休んだ期間の所得補償(休業補償給付)等を受給することができる可能性があります。
(※前提として、労災が成立している事業所で、労働保険料を納めていることが必要です。)

申請書類は厚生労働省の以下のページにアップロードされています。
申請される際は病院で必要な用紙を確認してこちらの申請書をご利用ください。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken06/03.html
(引用:厚生労働省 労災保険給付関係請求書等ダウンロード)
 
ただ、実際に仕事をしているときに新型コロナウィルスに罹患したことを証明することは困難です。そこで、各労働基準監督署が事業所と従業員に新型コロナウィルスに罹患した経緯等をヒヤリングし、認定の判断をしています。
ヒヤリング方法は各労働基準監督署によって異なりますが、調査用紙の記入を求められたり、電話でヒヤリングされたりします。

ご対応でお困りのことがございましたら、お気軽にCROSSROAD社労士事務所へご相談ください。