2022.01.18
職場のハラスメント防止措置義務化への対応は進んでいますか?
【4月から中小企業もパワハラ防止措置が義務化に】
2020年6月1日にパワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)が施行されました。中小企業については、2022年3月31日まではパワハラ防止措置は努力義務とされ、猶予期間が設けられていたところ、いよいよ2022年4月1日から義務化されます。現在未対応という場合は、早めに内容を確認をして対応を検討していきましょう。
【パワーハラスメントとは】
職場において行われるパワーハラスメントとは、以下のように定義づけられています。
①優越的な関係を背景とした言動で
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
③労働者の就業環境が害されるもの
上記、①~③までの要素を全て満たすものが該当します。したがって、客観的にみて業務上必要かつ相当な範囲で行われる、適正な業務指示や指導についてはパワーハラスメントに該当しません。
【パワーハラスメントの類型】
パワーハラスメントは、主に以下の6種類の類型に分類されます。
①身体的な攻撃・・・暴行・傷害など
②精神的な攻撃・・・脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言など
③人間関係からの切り離し・・・隔離・仲間外し・無視など
④過大な要求・・・業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害
⑤過小な要求・・・業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
⑥個の侵害・・・私的なことに過度に立ち入ること
【パワーハラスメントの防止のために講ずべき措置】
中小企業にも義務化された後は、会社は、以下の措置を必ず講じなければなりません。
〇会社の方針等の明確化およびその周知・啓発
〇相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
〇職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
〇そのほか併せて講ずべき措置(プライバシー保護、相談を理由に不利益扱いをされない旨の周知)
【効果的な取組みの例】
日本経済団体連合会「職場のハラスメント防止に関するアンケート結果」によると、ハラスメント防止・対応の課題について特に当てはまる上位3つとして、「コミュニケーション不足」(63.8%)、「世代間ギャップ、価値観の違い」(55.8%)、「ハラスメントへの理解不足(管理職)」(45.3%)が挙げられています。
これらへの効果的な取組事例としては、ハラスメントに関する研修の実施、eラーニング実施、事案等の共有、コミュニケーションの活性化のための1on1ミーティングの実施、社内イベントの実施などが考えられます。これらの事例も参考にしつつ、自社の適切な取組をご検討ください。
【適正な業務指導との区別】
パワーハラスメントは、適正な業務指導としっかり区別をした上で対応することが重要です。そのためには、主に管理的な立場や後輩の指導をする立場の従業員が、パワーハラスメントの定義を正しく理解している必要があります。
会社にとって、従業員がパワーハラスメントをしてしまうことも問題ですが、管理者等がパワーハラスメントを過度に恐れて萎縮してしまい、本来必要な業務指導が疎かになってしまうことも避けなければなりません。
そのためにも、社内研修や勉強会等によってパワーハラスメントの理解を深める取組みは非常に有効と思われます。
パワーハラスメント防止措置への対応についてのご相談は、ぜひ社会保険労務士法人CROSSROADまでお気軽にご連絡ください!
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