2023.04.14
「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」が改正されました
事業場における労働者の健康保持増進のための指針の一部が改正され、令和5年4月1日から施行となっています。厚生労働省からは、通達「「事業場における労働者の健康保持増進のための指針の一部を改正する件」の周知について(令和5年3月31日基発0331第1号)」が公表されています。
◆指針について
この指針は、労働安全衛生法の規定に基づき、事業者が講ずるよう努めるべき労働者の健康の保持増進のための措置が適切かつ有効に実施されるよう、当該措置の原則的な実施方法について定めたものです。
◆改正の理由
①加齢に伴う筋力や認知機能等の低下が転倒等の労働災害リスクにつながること等を踏まえ、労働者の健康状況の継続的な把握等、労働者の高齢化を見据えた取組みについて明確化するため、また、②40歳未満の労働者について、事業者と医療保険者が連携して健康保持増進対策をより効果的に推進できるようにするための改正です。
◆改正の内容
筋力や認知機能等の低下に伴う転倒等の労働災害を防止するため、体力の状況を客観的に把握し、自らの身体機能の維持向上に取り組めるよう、「転倒等のリスクを確認する身体機能セルフチェック」「加齢による心身の衰えを確認するフレイルチェック」、「移動機能を確認するロコモ度テスト」等を実施することが考えられる旨、規定されました。
また、健康保持増進対策の考え方として、事業者は医療保険者と連携したコラボヘルスの推進に積極的に取り組んでいく必要があること、労働安全衛生法に基づく定期健康診断の結果の記録等を積極的に医療保険者と共有すること、および当該記録等は電磁的な方法で保存および管理させることが適切であることを明確化しました。
【厚生労働省「「事業場における労働者の健康保持増進のための指針の一部を改正する件」の周知について(令和5年3月31日基発0331第1号)」】
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T230331K0260.pdf
健康診断にプラス!
「がん検診」の受診勧奨で従業員を守る!
◆ぜひ「がん検診の受診の啓発」を!
健康診断を実施する企業も多い春先のこの時期、従業員に「がん検診」をあわせて受診するよう勧める取組みを行ってみませんか。
会社での健康診断は、一般にがんの発見を目的としたものではありません。会社の健康診断の目的は、大きく分けて、業務内容に関連して注意すべき病気の有無をチェックすることと、生活習慣病の予防を行うことです。つまり、会社の健康診断で問題なしとの結果が出たとしても、がんの心配がないわけではないのです。
がんに罹患する方の3人に1人は、20~64歳の働き世代です。医療技術の進歩により、がんの治療をしながら働き続ける方も増えており、企業も積極的に「がん対策」に取り組むことが望まれています。その取組みの1つとして行いたいのが、「がん検診の受診の啓発」です。
◆受診啓発のための取組み
具体的には、企業が行っている健康診断にがん検診を取り入れたり、健康診断とは別にがん検診を受診するようすすめたり、がん検診の効果についての情報を提供したりして、受診率の向上につなげます。安心してがん検診を受けてもらうためには、精密検査が必要となった場合の受診のフォローについての体制を整備し、周知することも大切です。
◆受診啓発が受診率を高め、従業員を守る
受診率を高めるため、がん検診の費用を企業が負担するといったところも出てきています。しかし、特に中小企業では、そこまではなかなかやれないというところも多いかもしれません。
この点、先行事例が集積されるなかで、受診率向上のために有効なのは、実は受診勧奨の取組みである、ということがわかってきました。予算がなく、費用の負担までは難しいという企業でも、別の対策で、十分受診率を向上させられる可能性があります。
早期発見・早期治療できれば、がんは決して怖い病気ではありません。従業員の健康を守るため、ぜひがん検診の受診勧奨の取組みを始めましょう。
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